ヤドカリさん ![]() こんにちは。 わたしは宇宙の片すみで、生き物の観察をしている者です。 みんなは、わたしのことをハカセと言います。 今日はひとつ、おもしろいお話をしましょう。 どうぞ、ゆっくり聞いてください。 わたしたちの中には、 タマシイという、とても大切な生き物が住んでいます。 タマシイは、ヤドカリさんに似ています。 人間のタマシイ、それは、 ヒトノカラダという貝殻を借りている、ヤドカリさんです。 ヤドカリさんは、殻が壊れたら、その殻を出て、 新しい殻に移ります。 ヤドカリさんは自分が成長して殻が小さくなったら、 やっぱり殻を出て、また新しい殻に移ります。 人間の計り方で言うと、ヒトノカラダという貝殻は、 だいたい70年から80年で殻としての役目を終えます。 もちろん、それより長持ちする殻もあれば、 ほんの数年で壊れてしまう殻もあります。 ヤドカリさんが殻を替えると、 そのお友達のヤドカリさんは悲しみます。 「友達がいなくなった」と。 でも、いなくなったのではないのです。 殻を新しく替えたことに、 気付いていないだけなのです。 ヤドカリさんは目が悪いのでしょう。 いつも、殻の形が目印だったのです。 ところが、お互いに殻が替わっても、 時々こうおもうことがあります。 「あれ、どこかで会ったことがあるなぁ」 どうしてわたしたちはこんなに気が合うんでしょう。」 それは、前からお友達だったからです。 こうしたことが、何度も何度もあるのです。 見ていておかしくなるくらい、何度もあるのです。 タマシイというヤドカリさんは 人間の計り方ではとうてい想像もつかないくらい 長生きです。 何回も何回も殻を替えては 「どこかであったことあるよね。」 と言っているのです。 あなたもヤドカリさんです。 ヒトノカラダという殻を借りたヤドカリさんです。 そして、あなたの大切な家族も、友達も、 みんなヤドカリさんです。 みんな、いつか今の殻とお別れするときが来るでしょう。 でも、それは本当のお別れではありません。 殻を替えるだけなのですから。 ヒトノカラダという殻を替えるだけ。 「また、そのうちに会いましょう。」と 笑っていればよいのです。 わたしですか? みんなはわたしのことをハカセと言います。 いつかまた、おもしろいお話をお聞かせしましょう。 では、ごきげんよう。 ![]() ![]() ![]() このおはなしを、すべての愛する友へおくります。 カヤバ ユキ |
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